夏の花火大会の後、
私たちは大学時代の友人らと
羽目を外して――
ピアノな森、ノコギリな林
世の中には、なぜか人が近寄らない場所というものがある。
その反対に、どういうわけだか人が集まってきてしまう場所もある。
この街はずれの森に関して言うならば、後者である。
せっかく人目を避けられそうな場所を見つけて縄張りにしていたのに、獣道を折々に進んで深々と、絶対に土地勘のある者じゃないと来れない場所だと思っていたのに、だ。
「こ……こんばんは」
私たちを前にして萎縮してしまっている少女が現れ、間の抜けた声で、とりあえず挨拶をくれた。
その子が着ている制服を見て、どこの高校に通っているのか当ててみせられるほど、私はもうその年頃の子達とは縁遠くなっていた。
本当に高校生かも怪しい。
ほっそい脚にはいているソックスが白ではなく紺色のようだったからそう推測するかぎりだ。
「なにを……されていたんですか?」
「見ての通りなんだけどねぇ」
素っ裸でブルーシートの上に寝転がっていた男の一人が答えてやった。
少女の疑念は当然だ。
森の中に入ってきてみたと思えば、いい齢の男女数人がブルーシートの上で戯れているのだから。
加えて男女ともに浴衣姿か、浴衣崩れ、素っ裸な格好だ。
私たちは花火大会に浴衣姿で出掛け、久しぶりに羽目を外して楽しんでいた。
大学時代の友人達とで、皆すでに結婚していたけれど、ペアは連れてこないルールで若い頃のようにはしゃぎ倒していた。
そのうちにアルコールに飲まれ、酔いを醒ましながら帰ろうと道を歩きながらも缶ビールを煽っていたのだから話にならない。
やがてこの森の茂みに入り込み、川辺で敷いたブルーシートを再登場させて私たちは若かりし頃のようにまぐわっていたのだ。
若かりし頃のように、という背伸びは、もう自分はそう若くない事を忘れるためのものであり、私たちは快楽に夢中になることによってさらに忘却の域を深めようとしていた。
そこへ若さを持て余した少女がひょっこり現れてくれやがったのだ。
男友達は若い雌と思ってレイプの算段をしているのやもしれなかったが、女友達と私とは若い女への敵愾心に顔つきが変わっていた。
色眼鏡というやつだろうか、どうにもこの少女は私たちを見下しているように感じられる。
見方を変えれば処女っぽい潔癖とも言えたかもしれないが、私はこの少女が気にくわなかった。
「お嬢ちゃんはどうしてこんなところに? 一人?」
「え、はい。あの……その、あたし、将来物書きになりたいって夢があって、今のうちから見識を深めておこうと思いまして、いろいろと出歩いてみたりしていたんです。今日はなんとなくこの森に……」
こんなところで夢語りをするなんて世間知らずもいいところだった。
その場の全員が吹き出しそうになるのをじっと堪えていた。
少女は夢語り自分語りに夢中になって饒舌になる。
「妖精のお話を知っていますか。アイルランド地方の民話になるんですけど、今日みたいな満月の夜には、月明かりの下で妖精達が楽しくダンスを踊っているんだそうです。けれどイタズラ好きで有名な妖精ですから、子供は絶対に近づいちゃダメだと言いつけられていたそうです、連れさらわれてしまいます。だけど本当のところは、月の下で踊っているように思われたのは大人達だったんですね、エッチなことをしていたんです。その光景が子供達には踊りに見えたんでしょうね。なるほどなって思います、あたしもあなたたちを見た時には踊っているかのようでしたもの」
「ずいぶんお詳しいんだね」
「はい、ケルト神話とか、マイナーなんですけど好きなんです、あたし」
月明かりが少女を照らすと、化粧っ気のないながらも美しい若い肌が明らかになった。
小さな卵形の顔と整ったキューティクルが美しい長い髪、文学少女じみて白い肌をしていたけれども滲み出る活力によって健康的だった。
青春時代を本の虫として過ごすつもりなのだろうが、この子がしたたかな性に目覚めたら楽しい青春を過ごせたろう、そんな素質を女の勘が見抜いてしまう。
「月明かりの晩に妖精が踊ると言われたのは森の中でも石のほこらがある場所だったね」
今の私は、決して文学少女には見えないだろうが、この少女の年頃では本の虫だったのだ。ケルト神話どころか、世界の神話・古典を読み漁っていた。
「ストーンサークルですよね。すごい、あたしの他にも知っている人がいるなんて」
「なにもストーンサークルで踊っていたのは男女ペアだけじゃなかったんだよ」
「え?」
「独り身の女もね、子宝を授かるためにストーンサークルで踊ったのよ。どんな風にか、わかる?」
「いえ全く想像がつきません」
この子は物書きに向かないなと私は胸の内でつぶやいた。
話の流れからすれば簡単に想像できるだろうにさ。
どうやら友人達は気付いてくれたようだ。
話の内容も、私の意図も。
男友達たちは少女をあっけなくも捕まえた。
丁度、月明かりが彼らと少女を照らし、舞台のスポットライトのようだった。
女友達と私とは暗がりからショーを観劇させてもらう。
少女の制服スカートの中へ男の手が差し込まれ、あまりに鮮やかにショーツが引き下ろされる。
「いやっ! やめてください!」
少女は気丈に訴えればどうにかなると世間を舐めているようだった。
裸の男四人に取り押さえられているのだから本気になって声をあげて助けを呼ばねばならないだろう。
とはいえこの森は他には誰もいないだろう。
この少女のように本好きで物好きの輩でもない限り。
「でもよぉ、佐知子。ストーンサークルっぽい石なんかねぇぞ」
「ばかね、どういう風に踊ったかが目的なんだから、石がないなら別のものでいいのよ」
「別のもんたってな」
「木の幹でいいじゃない」
「お前、そりゃ痛ぇだろ」
男友達が「痛い」と言ったところで、ようやく少女も正解がわかったらしい。
イメージしただけでもぞくぞくしてくる。
少女の青ざめる顔が嗜虐心を煽る。
男友達は、二人が少女の上半身を、もう二人がそれぞれ左右の脚を抱えた。
近場の木の幹の中から表面に凹凸の激しいものを選ぶと、少女の股ぐらを木の幹に押しつける。
「嬢ちゃん、独り身の女はこうやって石に股ぐらを擦りつけてオナニーしてたんだってさ」
「わ、わかりました! わかりましたから、もうやめて!」
「んだよ、せっかくだから嬢ちゃんもオナニーしようぜ、これで」
少女の下半身を抱える男達が息を合わせて下半身を上下させ始める。
聞こえもしないのに、木の幹にこすれる少女の局所の音が聞こえてくるようだった。
「やめてぇぇぇっっっ! 痛ぃっっ!! 痛いのっ!! いやぁぁぁっっっっっ!!」
女の腕には一抱えにできそうにない太い木の幹に向かって、両脚をぱっくりと開いて局所を擦りつけられる。
少女の悲鳴は深夜の森に轟いた。
局所を擦りつけられて木の幹がぼろぼろと崩れ落ちる音が妙に背徳的で、私たち女性陣は着崩した浴衣姿のままでオナニーを始めるのだった。
痛みに体をびくびくと体を震わせる少女であったが、少女らしい楽器のような甲高い声で悲鳴を上げるのが収まると、男達に玩具にされるのだった。
私たちはそれを見ぃ見ぃ女陰をねじり潰し、快楽に耽っていた。
処女破瓜とは別の血を股から流す少女が、明日からでも小説を書くというのなら私は読んでみたいと思わずにはいられない。
しかし、この後の少女についてはどう処理したらいいのだろう。
最後まで妖精の真似をして、少女を連れ去り、一生踊り続けてもらおうか。
困った困った、ちょっとしたイタズラのつもりだったのに少女の人生をめちゃくちゃにしてしまった。
さて、はやく処理しないと。こんなところを誰かに見られたら大変だ。
そう思っていると後ろの方で、森の茂みが音を立てた。
私が振り返ると、そこには私たちのダンスを見て唖然としている人の姿があるのだった。
「あらあら、あなたも小説なんかを読んだりするの?」
終わり
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